データサイエンスとは?どのように活用するのかをシーン別でご紹介

データサイエンス(data science)とは、データから有益な知見を得ようとする学問分野のことです。統計学やデータ分析・データ解析などのアプローチを用い、データから科学や社会、ビジネスなどに役立つ価値を引き出します。
データサイエンスは、個人を特定しないデータからでも洞察を得ることができるため、プライバシーを侵害しにくく、機会学習との組み合わせなどにも期待が寄せられています。
本コラムでは、データサイエンスの概要と注目される背景、活用シーンをご紹介いたします。


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1. データサイエンスとは?
データサイエンス(data science)とは、データから有益な知見を得ようとする学問分野のことです。統計学やデータ分析・データ解析などのアプローチを用い、データから科学や社会、ビジネスなどに役立つ価値を引き出します。
同じデータであっても、データを扱う人のスキルによって導かれる価値が異なるため、データサイエンスには高いデータ処理能力やデータ分析力が求められます。データサイエンスの専門家を、データサイエンティストとよびます。
インターネットをはじめとするICTの進歩やBIツールの普及、AIの発展などにより、ビッグデータを活用できる環境が整ってきたことから、データサイエンスに期待が集まっています。特に、機会学習やデータマイニングの発展がデータサイエンスに貢献しています。
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2. データサイエンスが注目されている理由
実は、データサイエンスという言葉自体は古く、1974年にデンマークのコンピュータ科学者であるピーター・ナウア(Peter Naur)氏が著書の中で使用したことで注目を浴びたといわれています。
最近になってデータサイエンスに期待が寄せられるようになった背景には、大きく次の2つの理由があります。
業界や分野を問わず、データの利活用が進んでいるため
「21世紀はデータの時代」「データは21世紀の石油」と表現されるように、データの重要性が増しています。以前は「ヒト・モノ・カネ」の3つを経営資源と呼んでいましたが、今ではこれに「情報」や「時間」が加えられています。
データという客観性のある根拠に基づく「データドリブン経営」や「データドリブンマーケティング」「データドリブンセールス」などが、それまでの勘や経験に基づく方法に取って代わりつつあります。
ビッグデータはもちろん、そこまで量や種類が多くはなかったとしても、社内に眠るデータを利活用するためには、データを正しく扱うためのスキルが必要になります。そこで、データサイエンスが注目を集めるようになりました。
ビッグデータを活用できる環境が整ったため
「データサイエンスとは?」でも少し触れましたが、ビッグデータを効率よく生成・収集・蓄積し、これをスピーディに分析して、簡単に活用できる技術的な環境が揃ったことが挙げられます。
スマートフォンやセンサーなどデータを生成するデバイスやSNSなどの普及、データを送受信するためのインターネットの高速化、受信したデータを蓄積するデータベースやハードディスクの進化といった、ビッグデータを蓄積するまでのインフラが整ったことがまずあります。
さらに、蓄積されたビッグデータを分析・解析するためのAIやBIツールなどの進歩があります。
このように、ビッグデータを扱える土台が出来上がったことから、ビッグデータを上手に活用するためにデータサイエンスへの期待が高まっているのです。
3. データサイエンスの活用シーン
では、実際にデータサイエンスを活用することで、どのようなことを実現できるのでしょうか?
ここでは、データサイエンスの活用シーンを分野別に見ていきましょう。
製造
製造現場においては、品質管理や生産性向上、需要分析などにデータサイエンスが活用されています。
品質管理では、製造ラインにセンサーを設置してIoTからデータを収集し、品質低下の原因を特定して品質改善につなげたり、基準に満たない製品を感知するとアラートを出したりといった活用方法があります。
生産性向上のためには、IoTから得たデータを元に、歩留り分析やサイクルタイム分析などを行うという活用例が挙げられます。
一方、需要分析では、市場の動向に加えて過去の購買データなどから需要予測を行ったり、製造数を最適化して工場のリソースを調整したりという活用が可能です。
また、製造した個々の部品などに対して、原材料の調達から加工や組立、流通などの各工程で製造者や仕入先などを記録しておき、履歴を追跡可能にするトレーサビリティにもデータサイエンスが役立っています。
セールス(営業)・マーケティング
セールスにおいては、商材数の多い企業が既存顧客に対して最適な商材を提案するために、過去の購入履歴やMAツールから得たWebサイトの閲覧履歴データを分析して、顧客ごとの販売期待額リスト、商材ごとの販売期待額リストを作成することで、受注しやすくするといった活用方法が挙げられます。
また、マーケティングにおける活用例としては、検索エンジンで過去に検索された膨大なデータから、ユーザーが欲しい情報とマッチングする可能性の高い広告を表示するというものがあります。
販売
小売など流通においては、チェーン展開など複数の店舗を持つ企業で、各店舗の売上データをリアルタイムに取得し、特定の店舗やエリアで売上が急激に落ち込んでいる商品があれば、天候や周辺でのイベントといった地域性の高いデータを統合してデータサイエンスを活用し、短時間で原因を特定して取れる対策を行うという活用方法があります。
また、オンラインショップとオフラインショップの在庫データを統合しておき、ユーザーがWebサイトから商品情報を確認すると、いつ・どの店舗で購入できるかがわかるようにするサービスを実現することも可能です。
回転寿司店で、レーンに流すお皿のタグから曜日や時間帯ごとに売れたネタの種類などのデータを収取して最適化し、廃棄を減らすという活用例もあります。
医療・健康
医療・健康分野では、入院患者や介護施設の入居者にリストバンド型のウェアラブルデバイスを装着して24時間・365日、計測したデータを蓄積し、正確な診断や適切な治療に結びつけるといった活用方法が挙げられます。
また、患者データを性別や年齢、人種別などで分析・解析することで、EBM(Evidence Based Medicine/根拠に基づく医療)に活用するという方法もあります。
農業
農業においては、収穫量・質を向上させるためなどにデータサイエンスを活用できます。
地域ごとに、土壌データや過去の収穫量や品質といったデータを数十年単位で蓄積し、天候などのデータを統合することで、その年の収穫量・質を予測したり、最適な農作業計画を策定したりという活用例があります。
教育
データサイエンスは、ビジネスだけでなく、教育や公共のためにも活用できます。
教育分野においては、生徒が使用するタブレット端末から授業への参加状況(出席・発言)やテスト結果などをデータとして蓄積・分析し、一人ひとりに合った学習方法を指導するといった活用方法があります。
また、全国の児童・生徒のテスト結果データを分析することで、学習指導要領の改訂など教育施策の最適化に活かすことも可能です。
公共
公共分野では、災害や犯罪の発生予測などに活用できます。
気象データや地震データといった観測データとシミュレーションデータを融合させ、大地震やゲリラ豪雨などの災害を予測できます。
また、災害時の電力やガス、水道などの使用状況データから避難状況を可視化し、避難計画の立案・改善に役立てることもできます。
犯罪の発生予測については、過去の犯罪の発生データを元に、事件が発生しやすい場所と時間帯を特定して防止につなげたり、勘と経験がものをいうプロファイリングに統計学の手法を応用した統計的プロファイリングを防犯に役立てるといった活用例があります。
4. まとめ
データサイエンスは、決して新しい学問ではありませんが、昨今のビッグデータを活用できるインフラ整備や、データ活用への期待の高まりから注目が集まっている研究分野です。
その活用範囲は広く、ビジネスだけでなく、教育や公共にも役立てることができます。
同じデータからでも、得られる価値はデータを扱う担当者のスキルによって大きく異なるため、専門知識を持ったデータサイエンティストが重宝されるようになるでしょう。
とはいえ、簡単にデータ分析が可能なセルフBIツールなども出てきているため、まずはデータ活用で自社のどのような課題が解決できるかを検討するところから始めてみてはいかがでしょうか。
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