業種:製造業 / 業務:財務会計 / 用途:社内情報共有
Webベースの伝票入力システムで間接業務の効率化とレスペーパーを実現。自由度の高いintra-martを駆使して入力しやすい画面を作り込み
120 年以上の歴史を誇る建設会社の名門・戸田建設。同社では、紙を減らし、間接業務を効率化する取り組みの一環として、Web ベースの伝票入力システム「レス伝票システム」を開発し、2004 年5 月から活用している。最大の変化は、入力の専任者がいなくなり、自分の業務に関連する伝票は社員各自が自分で入力するようになったことだ。開発にあたっては、intra-mart フレームワークとWeb 帳票配信製品を活用。社員の誰でもミスのない入力作業ができる、使い勝手の良いシステムの作り込みを、少ない工数で容易に開発することに成功した。
建設工事というものは、企画・構想/設計/施工/運営・維持管理という長期間にわたって非常に多数の企業が参画する一大プロジェクトであるだけに、企業間でやりとりする伝票の枚数は膨大な数になる。戸田建設の場合は、年間約80万枚もの紙伝票が社内に流通していた。 従来の伝票は、次のような決裁ワークフローで処理されていた。 作業所の伝票の流れを例に挙げると、全国に数百ヵ所もある作業所で、担当社員又は取引先が起票したOCR 伝票に、取引先からもらった請求書や領収書などの証憑を添えて、これを全国12 の支店に集め、部門長の承認を得た伝票を、各支店の経理担当者がOCR 装置を使って電子化する。 「25 年ほど前に始めたときには、OCR を使った画期的なシステムでした。また、いろいろ工夫して細部まで便利な流れにしていましたから、このやりかたが定着してしまっていたのです」と、情報システム部 部長 清水道明氏は言う。 しかし、すべてが紙ベースで動くため、部門長の承認を得るにも、月ごとに締めて経理部門へ送付するにも、いちいち手間がかかる。特に、各支店の経理担当者が伝票の記載ミスをみつけると、起票した作業所までさかのぼって問い合わせなければならず、手間と時間がかかっていた。そこで、原価管理システムと合わせて、伝票入力と流通の仕組みを見直すことになった。

新しい伝票入力の仕組みは、「レス伝票システム」と呼ばれている。 「取引先の状況や社会環境を見ると、証憑が紙ベースで存在するのに、いきなり伝票のみすべて電子化してペーパーレスにすることは現実的ではありません。しかし、紙の削減と間接業務の効率化という大きな目標は少しでも前進させたい。その思いが、『レスペーパー』ということばになり、『レス伝票システム』という名称に落ち着いたのです」と、情報システム部 情報ネットワーク課 課長 友枝幸一氏は説明する。 建設プロジェクトに応じて事務所の移設が頻繁に行われる全国の作業所と、支店や本社を結ぶシステムは、Web ベースで開発することが自然だった。 「Webシステムを開発する技術として、.NETはまだ不安なところがあるため、J2EEを選択し、J2EEベースのフレームワークで最も適したものとして、intra-martを選びました」と、情報システム部 基幹システム課 主任 戸円顕和氏は経緯を語る。 各種アプリケーションサーバ製品やフレームワーク専門のソリューションなどを幅広く比較検討したなかで、intra-mart を評価したのは次の4 点である。 第1 に、セッション管理の機能が充実しているため、大規模なシステムを安心して構築できる。 レス伝票システムは、全国の作業所の約600台のパソコンと、支店/本社の内勤部門の約400台のパソコン、合計1000台で利用される。「伝票締切日前にアクセスが集中する事態にも対応できるシステムを構築できる、堅牢なフレームワークが欲しかった」と戸円氏は言う。 第2 に、JSP 対応であるため、Java のページベースで開発ができ、ピュアJava を生成しやすい。 戸田建設の情報システム部は、これまでのWeb システム開発を通じて、ピュアJava のスクリプトは作成が容易でないということをよく知っていた。同時に、システムの継続性という観点で見ると、ピュアJava で開発することがいかに大事であるかということもよく知っていたのである。 第3 に、実績が豊富で、幅広いベンダーがintra-mart を採用しており、開発者の調達も容易にできる。 そして第4 に、機能やモジュール群が充実しているにもかかわらず、最終選考に残った製品の中で最も価格が安いのが、intra-mart であった。


レス伝票システムは、2004 年5 月に稼動を開始して、伝票入力の流れは次のように変わった。 一番大きな変化は、入力の専任者がいなくなったことだ。社員は自分が担当する業務の伝票は自分で入力する。入力に用いるパソコンは、全国約1000 台。全社員5000 人弱のうち、自ら伝票入力する人は1000 名ぐらいだ。自分のID 番号とパスワードを使ってログインすれば、出張先の作業所でも入力作業ができる。 伝票締切日に合わせて各部署の担当者が集計表と明細をまとめて紙に出力し、請求書や領収書などの証憑を添付して部門長へ回付する。部門長が決裁すると、経理部門では経理としての決裁を行った後、紙の一覧表とシステム内の電子データの照合チェックを、一覧表に印刷されたバーコードを読ませる事により自動的に行う。一覧表に出力して決裁を行うのは、紙に出力することで添付の証憑書類の紛失を防ぎ、かつ情報の改ざんを防ぐためである。 レス伝票システムの最大の特長は、社員の誰でもが入力しやすいように、きめ細かい工夫が凝らされていることだ。 作業所の原価管理システムと連携しているため、件名を入力するだけで、基本的な情報は入力画面に自動表示される。分類コードなどはメニュー選択できるし、入力途中でマスタ情報を検索することも簡単にできる。入力画面には細かい入力チェック機能が装備されており、文字の入力ミスなどの単純なチェックの他、支払条件のチェックなど、ほぼ全ての入力ミスを防止する機能が実現されている。 「intra-mart は、自由度が高く、入力画面も作りやすかった。利用者から受け入れられる体感の良いシステムを開発できたのは、intra-mart のおかげ」と戸円氏は評価する。

レス伝票システムは、間接業務の手間と時間の削減に大きく貢献した。 前述した伝票入力の効率化のほかに、省力効果が最も大きいのは、支店の経理担当者である。毎月2 日は入力作業に割かなければならなかったのがゼロになり、入力ミスを見つけて現場へ問い合わせるやりとりもほとんどなくなった。 伝票を並び替えて保管する手間も削減できた。従来は、問い合わせがあったときのために、紙の伝票を取引先別に分類してからファイリングしていた。現在では、伝票データはコンピュータの中にあるため、検索も並べ替えも自在にできる。 又、作業所でも、Web ベースの集中化したシステムにより、いちいち作業所に出向かなくても伝票発行できるようになった。 こうした省力効果に加えて、情報の流通がスピードアップしたのは大きな成果だ。作業所及び内勤部門では、入力した伝票のデータを経理へ送信するだけでなく、手元で加工・集計して実績管理などの業務に利用している。これまでは、経理の締めの作業が完了して集計結果がフィードバックされるのを待たないと、自分の部門の実績データを把握することができなかったが、現在では、自分たちが入力したデータを即座に管理業務へ利用できる。 入力作業をシステム化したため、今後、業務アプリケーションを作り替えるときにも楽に対応できるのも、将来に向けての大きな成果である。 「建設会社は独自のシステムを自前で開発するという発想が強いのですが、intra-mart は、明らかに導入メリットがあったパッケージ製品としても意味があります」と清水氏は言う。IT の役割が重要になればなるほど、パッケージやフレームワークやアウトソーシングなど、社外の知恵の活用も不可欠になってくる。intra-mart はその最初の重要な一歩を担ったのである。

| 戸田建設株式会社 | |
|---|---|
| 本社 | 東京都中央区京橋1丁目7番1号 |
| 設立 | 1936(昭和11)年7月10日 |
| 資本金 | 230億円 |
| 売上高 | 単独4623億円、連結4910億円(2005年3月期) |
| 概要 | 病院・学校に強い準大手の建設会社。2005年3月には、3年以上にわたったダム工事において、工事、現場事務所、宿舎から発生するすべての廃棄物をリサイクルする「ゼロエミッション」を達成するなど、時代のニーズにも敏感な企業活動を展開している。 |
| URL | http://www.toda.co.jp |
この記事に関する評価にご協力下さい