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松竹株式会社様

業種:メディア・エンターテイメント / 業務:分析系 / 用途:社内情報共有

ワンクリックで表現力多彩な帳票レポートを自動生成。intra-martとOSSを駆使したデータ分析支援システムで、業務スピードを大幅向上

松竹株式会社(以降、「松竹」と表記)では、映画の興行・配給を効果的に行うための調査データ分析支援システムを開発し、2007年6月から利用を開始した。従来から毎週実施してきた宣伝浸透度調査の結果をデータベース化し、定型レポートは自動生成してイントラネットで公開し、非定型の分析も自在に行える「エンドユーザー・レポーティング環境」を実現したのである。開発にあたっては、各種OSS(オープンソース・ソフトウェア)との連携性に優れ、製品自体もOSSであるintra-martを採用。多彩なグラフ表現などを実現するため、intra-martの基本機能に加えて、OSS「JFreeChart」を組み合わせて活用。短期間かつ低コストで、大きな成果をあげることに成功した。

高度な分析を凝らし、表現力豊かなレポートの自動生成を目指す

映画のプロモーションは、時間との戦いである。 「映画のタイトルをはじめとするブランドへの認知が『ゼロ』の状態から出発して、短期間で認知度を上げ、『観に行きたい』という気持ちを盛り上げ、実際に映画館まで足を運んでもらう。その持ち時間はだいたい1~2ヵ月間です。短期間で投資を回収し、プロモーションが成功したのかどうか結論を出さなければなりません」と、松竹株式会社 映像本部映像統括部 映像戦略室の下角哲也氏は語る。 そこで大切なのが、家族向きの作品なのかカップル向きなのか、ターゲットを的確に絞り込み、そのターゲットに向けて最も効果的なキャンペーンを打つことだ。下角氏が所属している映像統括部では、週に一度、映画作品の「宣伝浸透度調査」を実施。毎週、入手する最新の調査結果を利用して、映画宣伝のマーケティング戦略を練っている。ターゲット層が似ていると思われる作品で、どのようなキャンペーンが成功したか、あるいは、知名度を「観たい」気持ちへと転換させるにはどのような対策が効果的であったかなど、新しい興行のキャンペーンを打つ前に詳細に分析するのである。 しかし従来は、リサーチ会社からアンケート調査などの数値が提供されてから、レポートを作成するのに大変な手間がかかっていた。担当者が、表計算ソフトなどを使って見やすいレポートを作成するのに、丸3日かかっていたのである。 整理作業が大変なのは、分析の切り口が多く、図表も独特のフォーマットであるためだ。レポートの種類だけでも、50種類ほどにのぼる。しかも、集計の要素は数値だけではない。ごく一例だが、複数のデータを組み合わせて回答者の感性的な要素をパターン化するなど、松竹が長年にわたって工夫を重ねてきた独自のデータ加工作業がある。また、シネマコンプレックス全盛時代を迎えて、同時並行して営業企画の分析を進めなければならない作品本数も増えている。 担当者は、システムのこともマーケティングのことも両方わかっている貴重な人材である。レポート作成にかかる負荷を軽減し、他の戦略的な業務に力を振り向けたい。 そこで2006年、宣伝浸透度調査システム「yomogi」の開発がスタートした。

拡張モジュール「IM-X Server」とOSS「JFreeChart」を活用

システム開発にあたっての要件は、3つあった。 第1は、レポーティングの作業負荷軽減だ。ボタンをワンクリックすれば、定型レポートが仕上がって、PDF化され、イントラネットへ配信されるように、バッチ処理を組み上げたい。そのためには、映画作品データベースや、興行収入データベースなど、他のデータベースとの連携も作り込む必要があった。 第2は、エンドユーザー・レポーティングの実現である。蓄積される調査データをデータベース化してエンドユーザーに提供し、定型レポート以外の自由な分析ができるようにしたい。 そして第3は、短期開発を実現して、少しでも早くサービスをスタートさせることである。 「定型レポートやデータベースはイントラネットで公開するため、Webシステム構築が大前提です。そこで、イントラネット・システムのプラットフォームとして実績があるintra-martをフレームワークに採用しました」と下角氏は語る。 さらに、松竹株式会社 管理本部 システム室山﨑敬之氏は、「もともと、松竹独自のノウハウを組み込んだシステムは市販のBIパッケージでは実現できないとわかっていました。BIツールから入ると、カスタマイズの工数が膨大に必要となります。そうではなくて、データベース構築のインフラ作りから入って、分析用のツールは後から必要に応じて組み合わせたほうが、開発全体での作り込みの工数が少なくなると考えたのです」と説明を加えた。 ねらいにたがわず、intra-martを利用することで、アカウント管理、アクセスコントロール、セキュリティなどの機能は、標準モジュールを組み合わせるだけで開発することができた。他のデータベースとの連携も、JDBCドライバ対応で容易に実現。複数のデータベースやスキーマに対して同時にクエリを実行できるため、週ごとのランキングトップの作品を前年と比較するなど、複雑な定型レポートも自動作成できたのである。 苦労したのは、図表を多用したレポートの設計だ。松竹はクリエイティビティや感性を大切にする会社であるだけに、製造業でよく用いられる単純な円グラフや棒グラフでは、利用者が納得しない。これまで担当者が手作業で知恵を絞って作り上げていた、美しく効果的な見せ方と同じ仕上がりを、新システムでも実現する必要があった。 そこでまず、きめ細かい帳票作成が簡単に行えるintra-martの拡張モジュール「IM-X Server」を利用して、開発生産性を向上した。それでも、縦横混在のグラフやきめ細かい色表示など、対応できない機能がある。そこで、オープンソース帳票システム「JFreeChart」を組み合わせて、これまでと同じ仕上がりを、ボタンクリックひとつで自動生成されるレポートでも実現することに成功したのである。

今後はデータマイニングによる新しい知見の発見へ

既存のモジュールを最大限に活用し、それでも足りない機能はOSS(オープンソース・ソフトウェア)をフレームワーク上に組み合わせるという方法で、「yomogi」は、短期開発の要求も実現することができた。2007年4月に開発を完了し、同年6月から使い始めている。 利用者は本社スタッフ約100人だ。これまでは、3日間のレポート作成作業を経て、毎週木曜日でないと見ることができなかった調査レポートを、月曜・火曜のうちに利用することがあたりまえになった。分析に利用できる情報の鮮度が上がったのである。 調査結果がデータベース化されたことで、定型分析以外に、思いついたときに、思いついた形での分析が気軽にできるようになったのも大きなメリットだ。たとえば、性別、年代別の定型分析だけでなく、居住区別に認知度を比較してみてはどうかなど、ちょっとした空き時間に試してみることができるようになったのである。 次の目標は、データベースを利用して、データマイニングを行うことだ。 新しい知見を発見し、より効果的なプロモーションを実施していきたい。 「エンドユーザー・レポーティングまでは定着してきましたので、今後は、統計解析ツールを活用したデータマイニングを行い、新しい知見の発見とより効果的なプロモーションの企画・開発を行っていきたい。また、分析担当者だけでなく、現場の担当者もデータ活用ができるようになったので、利用を広げていきたい」と下角氏は意欲的に語る。 さらには、プロモーションのPDCA(計画・実行・チェック・評価)のサイクルを着実に回して、マーケティング戦略全体の威力を高めていきたいとも考えているのだ。 要件を満たしたシステムを構築できたことについて、山﨑氏は、「intra-martを高く評価している」と語った。 「当初、8社に提案をもらいましたが、見積価格が一番高かったところと比べると、ちょうど2分の1の投資で、トラブルなく動くデータウェアハウスシステムを短期開発することができました。次のシステム開発案件としては、会員顧客データベースを作るなど、さまざまな形のCRMシステム構築を検討していますが、そのときにも、intra-martは採用する技術の候補のひとつとして前向きに検討していくでしょう」と山﨑氏は言う。 データベース構築のインフラ作りからアプローチすることで、松竹は、経営効果をあげるシステムの短期開発に成功したのである。

松竹株式会社
本社 東京都中央区築地4丁目1番1号 東劇ビル
設立 1895(明治28)年
資本金 281億4,369万5,022円(2008年2月29日現在)
売上高 単体586億1,600万円、連結935億5,800万円(2008年2月期)
社員数 単体616名(2008年2月29日現在)
概要 映画製作・興行・配給をはじめとする映像関連事業、歌舞伎をはじめとする演劇事業、不動産事業が3本柱。2008年は「ライラの冒険 黄金の羅針盤」「母べえ」「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」「おくりびと」などが話題を集めている。
URL http://www.shochiku.co.jp/

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