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全日空システム企画株式会社様

[新着]

用途:シェアードサービス基盤

ANAグループSaaSアプリケーションプラットフォームを構築
「きめ細かい個別対応」と「効率的な標準化」の共存に成功

ANAグループのIT部門の中核企業である全日空システム企画(以降、「ASP」と表記)は、間接業務支援のマルチテナントシステムを開発し、2008年4月から、SaaS型シェアードサービスとしてANAグループ会社各社へ提供している。従来、1社ごとに個別に構築していたシステムを統合したことにより、30~40台必要であるところ7台に集約することに成功。システムの導入コストと保守運用コストの大幅に削減できた。しかも、個社ごとの個別要件には、設定変更や部品の入れ替えだけできめ細かく対応できる体制を整えて、システム開発・修正時のコーディング量も大幅に減らした。intra-martで構築したマルチテナントシステムが、「個別」と「共有」の共存を可能にしたのである。

12社5000ユーザが使う 4アプリケーションをSaaSサービス化

全日空システム企画(以降、ASP)が開発したSaaS型シェアードサービスのアプリケーションは、勤務管理、人事データベース、品質管理、一般申請(人事、経費精算などのワークフロー)の4種類である。すでに9社がマルチテナントシステムのSaaS利用へ移行済みで、2010年度中に3社加わって12社になる。 「グループ全体は約50社、そのうちでASPが担当しているのが約20社。グループ会社にはIT部門がないことが多いため、従来から、ASPが開発・運用・保守を担当してきました」と説明するのは、ビジネスシステム部 第四チーム リーダーの西山久美子氏だ。

これまでは、1社ごとに本番用と開発用のサーバを立て、システムを開発し、ASPがサーバ管理を行ってきた。 「サーバは物理的にはデータセンターに集中配置していましたが、個社ごとにシステムがバラバラであったため、サーバ台数も多くなり、維持コストもかかります。そこで、共通システムを構築し、個別ニーズにも対応できるSaaS型サービスとして提供することにしました」(西山氏)。 システム統合によって、サーバ台数は大幅に削減された。現在、本番機6台、開発機1台、合計7台で、12社約5000ユーザに対して、4種類のアプリケーションを提供する体制が整っている。

ビジネスシステム部 第四チーム 
シニアエキスパート 吉田 美沙氏

「個別システムのときは、本番機と開発機を個社ごとに確保していたため、12社なら最低でも36台必要。実際には40台以上のサーバが必要となっていました」と、ビジネスシステム部 第四チーム シニアエキスパートの吉田美沙氏は大きな成果を語る。 ただし、システムを共通化したのは、サーバ統合/サーバ台数削減が主目的ではない。 「グループ会社が個別に保有している資産の統合・共用・有効活用と、グループ会社の管理系業務を標準化、つまりガバナンスと全体最適化が最終的な目標です」と西山氏は言う。

開発ツールを統一し、共通フレームワークを確立した1stステップ

業種・業態の異なる10社以上の企業が共用できるSaaS型のマルチテナントシステムは、一朝一夕で開発できたのではない。 1stステップとして、2004~2005年ごろから、Webシステムの共通フレームワークを構築してきた。 「システムごとに個別のパッケージや開発ツールを適用していると、複数の技術が使える人材を常に確保しておかなければならないという状況に陥ります。共通部分が多い管理系システムを皮切りに、開発言語/開発ツールを1つに統一することで、開発・保守・運用を担当する人材の有効活用を図りたいと考えました」(西山氏)。

ANAグループは業務内容が特殊であるため、汎用パッケージでは原型をとどめないほどカスタマイズしなければならず、開発にも保守にも余分なコストかかかるという課題を抱えていた。遵守しなければならない法令も特殊であるため、法令や社内ルールが変わったときに、パッケージでは即応できない。 また、24時間365日のサービス提供を実現するためにも、ソースプログラムを細部まで把握しておく必要があった。 そこで、生産性と保守性の高い開発ツールを探して、intra-martに行き着いた。

intra-martなら、パッケージでは対応できない独自の機能も柔軟に開発できる。しかも、ワークフロー、標準APIなどがそろっており、開発生産性が高い。幅広く利用されている開発ツールであるため、社外の開発スタッフを確保しやすいのも魅力だ。
そして、オープンソースのintra-martを使えば、仕様変更への迅速な対応と、ハイレベルな保守運用サービスを実現できる。またASPのSEは、intra-martを知っていれば、いくつものアプリケーションの開発から障害対応まで、柔軟に対応できるのである。

PaaS層が標準化されていたためSaaS層共通化も容易に実現

intra-martを数年間にわたって使い続けた結果、標準フレームワークが自然に定着し、2ndステップへ進む条件が整ってきた。そこで2007年、intra-martのバージョンアップを好機として、マルチテナントシステム「αBiZシステム」の開発をスタートしたのである。
従来から、個社システム単位ではあるが、開発ツールをintra-martに統一してきた成果は大きかった。
「intra-martは標準でマルチテナント機能を備えていますから、当然ながらその機能を活用しました。業務ロジックは基本的に変化なし。考え方も踏襲できたし、プログラムも多くが再利用できました」と、ビジネスシステム部 第四チーム エキスパートの小川昌宏氏。

ビジネスシステム部 第四チーム
エキスパート 小川 昌宏氏

レイヤ構造を見ると、1stステップでは 、intra-martの上に、検索キーや共通部品などを「ASPコア」として開発し、その上層として個別アプリケーションを動かしていた。2ndステップでは、intra-martのバージョンアップによって変わったAPIをラッピングして部品化するなど、「ASPコア」を大幅に強化・整理。そのうえで、勤務管理・人事データベース・品質管理・一般申請の4アプリケーションをマルチテナントシステムとして搭載した。つまり、PaaS層が1stステップのときから共通化されていたため、SaaS層の標準化が容易に実現できたのである。
「intra-martは、アプリケーションを作るときのモデルが明確なので開発しやすい。データベースアクセスをどのレイヤで設定するか、ユーザビリティを高める画面デザインをどのレイヤで行うか、明確な全体像を開発者間で共有できるため、グループ開発も効率よく進められました」(小川氏)。業務ロジック担当、データベース担当など、役割を分担して、開発生産性を高めたのである。

1stステップでは、intra-martの上に、検索キーや共通部品などを「ASPコア」として開発し、
その上層として個別アプリケーションを動かしていた。
2ndステップでは、intra-martのバージョンアップを行うと同時に、「ASPコア」を強化・整理したうえ で、勤務管理・人事データベース・品質管理・一般申請の4アプリケーションをマルチテナントシステムとして搭載した。PaaS層があらかじめ統一されていたため、SaaS層の共通化が比較的容易に実現できたのである。

 

個別ニーズに最小限のカスタマイズで対応するマルチテナントシステム

出来上がった「αBiZシステム」は、「個別」と「共有」の共存を可能にしたマルチテナントシステムである。 PaaS層に相当する「ASPコア」に多数の部品を集約したため、既存のメニューを開放する設定をするだけで機能の追加/削除ができるようになったのである。たとえば、人事データベースと勤務管理の両方を連携させて使うとか、勤務管理とワークフローを連携させて使うとか、あるいは、地域特性による違いや、業種による勤務体系の違いなど、さまざまな個別ニーズにも、設定を変えたり、組み合わせる部品を入れ替えるだけで、最小限のカスタマイズで対応が完了する。
「共通化・標準化によって、サーバ台数削減と開発運用人材の有効活用ができて、導入コストと運用コストが大幅に削減できました。同時に、個別ニーズへのきめ細かい対応を迅速に行えるようになり、全体の開発工数も大幅低減に成功したのです」と西山氏は語る。

ビジネスシステム部 第四チーム
リーダー  西山 久美子氏

開発工数が従来の3分の1に低減したアプリケーションもある。データベースを統合しているため、グループ会社にまたがった人事異動が発生した場合もデータ連携が容易にできる。利用企業の追加をはじめ、アプリケーションの修正・保守作業をたった1人のSEで対応できるなど、さまざまな付加効果も生まれている。「intra-martの機能を使って、4アプリケーションをシングルサインオンにしたことも、利用者から高く評価されています 。また、intra-mart 6.1はパフォーマンスが良い。6台の本番機を約5000ユーザが使っていますが、レスポンスも快適です」と西山氏は言葉を添える。

今後は、マルチテナントシステムへ移行していないグループ会社にも、利用を拡大していく。また、次回のサーバ更改のタイミングで、仮想化を視野に入れる方針だ。「たとえば、業務支援機能を強化するために、パブリックのクラウドサービスと連携させるというときでも、intra-martがベースになっていれば、連携がスムーズにいくと期待しています。『個別と共有の最適な共存』をしたからこそのメリットを、これからも拡大していきたい」と西山氏は語った。

全日空システム企画株式会社
本社 東京都大田区羽田空港3丁目5番10号 ユーティリティセンタービル
設立 1986年8月
資本金 5,250万円
売上高 248億円(2010年3月期)
社員数 792名
概要 ANAグループにおけるIT部門の中核を担う企業。ANAのシステム開発・運用・保守を全面受託して、フライトの信頼性と安全性をシステム面から支えてきた。最近は、その英知をグループ外の幅広い企業にも提供。キャッチフレーズは「First Class IT system」(ミッションクリティカルな業務活動にファーストクラスの「安心」と「信頼」を)
URL http://www.asp-kk.co.jp/
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