業務:業務 / 用途:社内情報共有
intra-martスタートパックでREACH対策の業務支援システムを構築
複数企業が情報共有・コラボレーションするSaaS型サービスを実現
日本最大手の総合分析会社である住化分析センターでは、EU(欧州連合)が2007年6月から施行しているREACH規則への運用をスムーズに行うための支援システムとして、「SCAS REACH Web」を構築した。中核として採用したのは、intra-martの「イントラネット・スタートパック」である。 SCAS REACH Webは、登録申請に関する企業所有の膨大な化学関連文書を一元管理すると同時に、REACH規則で定められたSIEF※での議論を、電子会議室を用いて行うことを可能とした情報共有・コラボレーションを支援するSaaS型サービスである。顧客企業のREACH規則対策をスムーズかつ低コストで実現するとともに、住化分析センター自身の競争力強化にも大きく貢献している。 ※SIEF : Substance Information Exchange Forumの略で、日本語では、物質情報交換フォーラムと訳される。
人間の健康や環境保護を目的に、世界的規模で化学物質に対する規制が強化されている。EU(欧州連合)では、ELV指令、WEEE指令、RoHS指令に続いて、2007年6月、REACH規則が施行された。
REACH規則は、EUにおける生産・販売者とEUへの輸出者が、取り扱い製品が含む全化学物質(年間1トン以上)の人健康・環境・生態への影響について調査を行い、欧州化学物質庁へ申請・登録することを義務づけた規則だ。
必要なデータが登録されていない物質や製品は、EUにおける製造・販売・輸入ができなくなるのである。
住化分析センターの化学品安全事業部では、顧客企業が各国の法律や規制に対応して製品の輸出・製造・販売などの事業活動ができるように事業支援コンサルティングから、実験・試験を含む化学物質の分析・調査、各国機関への申請・登録などの事業代行をワン・ストップ・サービスで行っている。REACH規則対応ビジネスもその一環として事業化した。
「REACH規則については、日本企業で唯一、EU現地での申請・登録作業を代行できる「唯一の代理人」としての現地法人を持っています。REACH規則ではSIEFにおいて試験・実験の結果を公開・共有して、関係者間でまとめてから提出することも義務づけています。
したがって、REACH規則を円滑に運用するには、ステークホルダーの膨大な資料を1つのデータベースで一元管理するしくみと、顧客と当社間でコミュニケーションできるしくみの両方が不可欠でした」と、株式会社住化分析センター化学品安全事業部 部長の松本安雄氏は語る。

株式会社住化分析センター
化学品安全事業部部長
兼情報生産技術部 主任部員
松本 安雄氏
ただし、巨大なデータベースを構築している時間はなかった。REACH規則の対象となる事業者は、
2008年12月までに予備登録を完了している必要があるため、新システムは予備登録受付が始まる2008年6月には稼働開始させたかったからだ。
化学品安全事業部では、2007年後半は、在庫管理のパッケージ適用などを検討したが、要件にう
まく適合しなかった。
焦りを感じ始めたころに出会ったのがintra-martの「イントラネット・スタートパック」である。
イントラネット・スタートパックは、文書管理、電子会議などグループウェアの基本的な機能を備えて
いるうえに、それを発展させて複数企業間での情報流通を一気に加速させることのできるコラボレーションツールである。
「他のグループウェアは、企業の壁を超えたコラボレーションの機能を持っていません。無理にやろうとすると、当社側での管理作業が煩雑になります。その点、intra-martは、インターネット上のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の感覚で、SIEF内の複数企業のメンバーがドキュメントを共有し、専用の電子会議室で情報交換やディスカッションができます。管理作業も一元的・集中的にできるため、数多くの電子会議を最小の工数で安全に管理できるのです」と、松本氏は言う。
コストも、大きなデータベース構築を前提にしたシステムに比べて、非常に安価だった。
「Linuxサーバで安価に運用しながら、1,000単位のユーザを安定して維持できます。しかも、イントラネット・スタートパックの標準機能で、必要な機能が網羅されていました。また、オープンソースなので、カスタマイズが必要であれば実現可能であるところも良いですね」と、化学品安全事業部 技師の中島勝弥氏。

株式会社住化分析センター
化学品安全事業部 技師
中島 勝弥氏
決定打となったのが、柔軟性と拡張性だ。「わたしたちが求めているのは、住化分析センター、お客さま、お客さまを含めたステークホルダー間という3者の業務効率化です。そこで、組織や企業をまたいだ情報共有を追求していったら、自然にSaaS型サービスが構築できました。『SaaS型サービスを始めるぞ』と大上段に構える気持ちはまったくなかったのですが、拡張性が豊かなintra-martを使って必要な機能をおさえていったら、自然にSaaSへ進化していったのです」と松本氏は語る。
2008年6月、intra-martを使ったREACH規則対応のシステムが稼働を開始した。英語でも運用可能なグローバル対応システム「SCAS REACH Web」である。2007年末にintra-martの採用を決め、わずか6ヵ月で本稼働させることができたのは、イントラネット・スタートパックの標準機能だけを使い、カスタマイズをしなかったからだ。
化学物質管理を含めた法規制対応に関係する事業者は、サプライチェーンの流れから、(1)原材料・化学メーカー、(2)部品メーカー、(3)製品メーカー、(4)販売会社という4領域に分けられるが、現在は、(1)原材料・化学メーカーのカテゴリーに属する企業がターゲットだ。利用規模は、スタート時点では、200社1,000ユーザ程度を想定している。
文書管理で扱う文書は、契約関係の書類、見積書、請求書、調査票、各国の担当機関への提出文書など、膨大な種類と分量がある。
「intra-martはドキュメント編集において上書きされないため、版管理が適切にできて良い。お客さまを含めて、『真のドキュメントは1つだけ』を徹底することに役立っています」と松本氏。
文書を登録するとそれを知らせるメールが自動発信される機能も大いに有効である。あらかじめ設定してある発信リストへ自動発信するため、トップシークレットの情報を含む文書がリークする可能性が極めて低い。
一方、電子会議室は、1物質ごとに1会議室を立て、その中に複数のテーマを立てるというツリー構造で運用している。話題の中心となるテーマは、時期に応じて、また物質ごとにも変化する。 電子会議室に書き込みができるのは、顧客企業のREACH担当者と住化分析センターの担当者である。特筆されるのは、顧客企業の社内において、REACH担当者以外の人にも、参照のみの権限を与えられることだ。たとえば営業担当者が、電子会議室のやりとりを参照するだけで、担当製品のREACH申請の進捗度、問題点などの詳細を知ることができる。また、REACH担当者は、社内の問い合わせにひとつひとつ答えたり、報告書をまとめて社内の関係者にメールで配信するといった作業からも解放された。

SCAS REACH Webによって、住化分析センターおよび顧客企業におけるREACH関連作業は、業務プロセスの「見える化」を実現し、その波及効果として業務の標準化が容易に進んだ。
情報伝達がスピードアップしたため、顧客企業では「この製品をこのまま登録するか、あるいは、他の材料に変えてから輸出するか」といった意思決定が早くできるようになった。いち早く的確な手を打って、事業展開を有利に進めることが可能になったのである。
住化分析センターもまた、他社差別化を強化することができた。
「コラボレーション対応ができるのは住化分析センターだけですが、そういう当社との仕事のやり方が標準プロセスとして認知されることで、お客さまの業務の長期にわたってのパートナーとして認めていただけるという効果が期待できます」と松本氏。
システムの初期構築コストが安く済み、運用管理コストも低いため、SaaSサービスの利用料金を低く設定できるのも魅力だ。
「小規模な会社でも、月々数万円程度の手軽な料金で利用していただける、SaaS、クラウドに近いサービスの形になりました。データベースを中核に据えてこのシステムを作ったら、お客さまごとにそれぞれ数千万円の構築コストがかかったことでしょう」と松本氏は語る。
SCAS REACH Webは、 住化分析センターが顧客企業とのグローバルなやりとりをリアルタイムに行って、顧客の業務を支援するSaaS基盤なのである。
| 株式会社住化分析センター様 | |
|---|---|
| 本社 | 大阪市中央区高麗橋4丁目6番17号 |
| 設立 | 1972年7月1日 |
| 資本金 | 2億5千万円(住友化学株式会社100%出資) |
| 売上高 | 148億1,300万円(2010年3月期) |
| 社員数 | 約1,000名(2010年3月現在) |
| 概要 | 1972年、住友化学株式会社の分析部門から独立して誕生。事業内容は、環境調査・測定、危険性評価試験、エレクトロニクス、 健康食品・一般食品、医薬品・バイオ、化学・工業製品・原材料などの総合分析および、化学物質の登録申請・安全性評価など多岐にわたる。 最先端の研究開発支援、海外での事業展開を支援・代行するコンサルティングサービスなどのレベルの高さに定評がある。 |
| URL | http://www.scas.co.jp/ |
この記事に関する評価にご協力下さい