業種:食品・消費財(アパレル、商品、飲食、耐久消費財、家電、家庭用品) / 業務:情報系 / 用途:社内情報共有
文書の「分散」から「集中化」へコミュニケーションスタイル改革により情報の流通の活性化を実現
メール、掲示板システム、紙文書、サーバ内の膨大な文書。企業内にはさまざまな情報があふれている。これらの情報が流通するスピードを上げ、効率的な活用を進めるには、新たなシステムの導入のみならず「コミュニケーションスタイル改革」が欠かせない、とキリンビールは考えた。その一環としてintra-martの文書管理システム「QuickBinder」を採用、文書生成時の承認ワークフローと文書ごとのきめ細かいアクセス管理、また「気づき」を喚起する配信と、能動的情報収集を容易にする管理のしくみを実現した。今後キリングループのコミュニケーション・プラットフォームとして、グループ全体への利用拡大も予定されている。
キリンビールが、文書管理システムを構想したのは、2001年ごろのことだ。 「体の隅々まで血液が流れることが健康の要であるのと同様に、社内における情報の還流をスムーズにすることが、企業の競争力の源泉となります。それでは、ITをどのように活用すればよいか、メールや掲示板や文書はどのように管理すればよいか。さまざまな製品を評価しては試行錯誤を繰り返しました」と、キリンビール株式会社 情報企画部 主査桝田浩久氏は語る。 メールというコミュニケーションツールにより情報の流通量が爆発的に増加し、かえって本来の業務活動、創造的な企画提案業務に時間を割くことができない状況になった。部署ごとに使っているファイルサーバーの中には、何十万もの文書が格納されているが、どれが保存しておくべき情報で、どれが削除してもいい情報であるか、判断する人がいないのでいたずらに数が増えつづけていく。他者が作成した文書を探すのも一苦労。結果として、情報の流通や再利用がうまくいっていないのである。 管理すべき情報を2つの軸によって分類し見直した。 2つの軸とは、情報を必要とするのがチームであるか個人であるかという軸と、その情報は1回見たら用事が済むフロー型であるか保存しておくべきストック型であるかという軸である。たとえば、チームが必要とし、同時にフロー型である情報の代表がメールであり、個人が必要とし、同時にストック型である情報の代表格が、人事ルールを記した文書である。 このようにして分類した情報を効率的に流通させるためには、文書管理システムの導入だけでは解決できない。文書の性質にマッチした方法で流通させ、効率的に伝達させていくには新しいコミュニケーションスタイルを実現させることが必要であると結論された。 それが「次世代型」「格子型」「プル型」の3つのコミュニケーションスタイルである。特に「プル型」は、必ず読むべき情報は必要な人にメールやポータルに通知して気づかせ、各自が必要な情報は自ら検索して能動的に収集させるしくみを指す。 2005年、新しいコミュニケーションスタイル確立のプロジェクトは、この型に沿って情報を分類、整理するための新システム「Wing」の構築に取り組み始めた。


この3つの型のコミュニケーションスタイルを実現するには、これまでの部署ごとに分断して行う文書の管理ではなく、全社規模で集中化することが必須である。情報の集中化には次の2つの機能が欠かせない。 まず第一がワークフロー機能である。 「文書を的確に分類し、すばやく流通させるには、文書作成プロセスをワークフロー化することが不可欠です。文書の起草~承認の段階から、メール配信で気づかせる必要のある重要情報であるか、検索しやすく保存しておけばいい情報なのかを自然に判断できる構造にしておかなければなりません」と、キリンビール株式会社 情報企画部 業務推進リーダー 桐山俊也氏は指摘する。 次が、保存された文書に対するアクセス権限の管理である。文書管理を集中化し全社規模での流通を活性化させるためには、各人の職権に応じた文書ごとにきめ細かいアクセス権を設定できる機能が必須となる。 「ワークフローとの連動が可能で「気づき」機能を実現させるための考え方も明確にあり、かつ文書単位でアクセス権を設定できる。この2つの条件がそろっている製品は、intra-mart QuickBinder以外にはありませんでした」と桐山氏は言う。

intra-martで実現した「Wing」のシステムのしくみは以下のようなものだ。QuickBinderは「ファイルバンク」と呼ばれ、「情報マーケット」「一般文書」「公式文書」などの文書の種類に応じて保存、管理されている。 ファイルバンクはワークフローと連動しており、起草された文書は内容のチェックとメール、ポータル配信の必要の有無など事前統制を経てから種類別に保管される。 ファイルバンク内の情報は、フロントのポータルにも表示される。ポータルには「お知らせボックス」「情報マーケット」「公式文書」などが表示され、「気づき」が必要な情報は配信されると「お知らせボックス」にアラーム表示される。能動的に情報を収集する場合は「情報マーケット」からカテゴリを選択して検索をしたり、また全文検索機能を利用して検索したりできるようになっている。 その結果、要旨などの基本情報や保管期限などの属性がきちんと整った文書が自然に作成され、必要な人のポータルに配信される文書活用の流れを構築することができたのである。


Wingには、2006年8月以降に新規作成した文書を登録している。利用を開始して4ヵ月ほどで、文書数は1万にのぼった。現行の部署ごとのファイルサーバーは存続させているが、いずれ撤廃し、移行することが決まっているため、ストックすべき文書は必ずWingで作成されているのだ。 「Wingの構築効果はもっと利用が拡大してから検証する予定ですが、現段階でも、情報の種類を判断し、配信の必要の有無を分けたことで、必要な情報がすばやく確実に届くようになったという実感があります」と桝田氏は語る。 たとえば、重要なマーケティング情報を伝達するのがすばやくなることは、全国の営業部門の動きを速くすることにもつながる。商品のライフサイクルが短く、競争が激しいビールや発泡酒の業界では特に、コミュニケーションのスピードアップが有利に働くだろう。 しかも、文書ひとつひとつのアクセス権限がきめ細かく管理されるようになり、セキュリティが向上した。intra-mart QuickBinderは、データ検索、更新など、いつ誰がどのような操作を行ったかをログとして出力する機能も持っているため、内部統制に役立てていくことも可能だ。 キリングループは2007年7月、キリンホールディングス社の下での純粋持株会社制に移行する。 「Wingも、グループ全体に利用を拡大し、会社組織をまたがった情報交換に活用していきたい」と桝田氏は意欲的に語る。 intra-mart QuickBinderは、グループ全体のコミュニケーション・プラットフォームとしてさらに進化を続け、グループシナジーの拡大を、情報流通の側面で支えていくに違いない。

| キリンビール株式会社 | |
|---|---|
| 本社 | 東京都中央区新川2丁目10番1号 |
| 設立 | 1907年2月23日 |
| 資本金 | 1,020億4,500万円 |
| 売上高 | 連結1兆6,322億4,900万円、単体9,356億2,100万円(2005年12月期) |
| 社員数 | 5,192名(2005年12月31日現在) |
| 概要 | 日本を代表する酒類メーカーのひとつ。清涼飲料、医薬品等も製造。発泡酒トップシェア。「キリン一番搾り生ビール」も、一番麦汁だけでつくった上質感のあるビールとして着実に浸透している。2007年7月、キリングループは純粋持株会社制に移行する。 |
| URL | http://www.kirin.co.jp/ |
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