業種:食品・消費財(アパレル、商品、飲食、耐久消費財、家電、家庭用品) / 業務:財務会計 / 用途:業務ワークフロー
間接業務効率化を目指してSAPのフロントエンドに全社規模のワークフローシステムを構築。柔軟性のあるWebフロントのシステム構築基盤が実現
日本たばこ産業株式会社(以降「JT」と表記)は、中期経営計画の一環として、コスト構造改革に取り組んでいる。拠点の統廃合や間接部門の人員削減を実行するためには、社員全員が自ら申請し、自ら処理するための仕組みが不可欠だ。JTは、短納期構築かつ低コストで柔軟性に富んだワークフローシステムを構築するための基盤としてintra-martを選択。人事、財務、調達にわたる100近いプロセスを短期間でシステム化することに成功した。現場の要望をきめ細かく取り込むことができるワークフローシステムは、すでに導入したSAP R/3システムのフロントエンドシステムとして全社員14,000名で利用され、間接業務の効率化に大きな効果を発揮している。
たばこを中心に、医薬、食品など、多角経営を進めるJT。2003 年8 月には、3ヵ年にわたる中期経営計画「JT PLAN-V」を発表し、収益性の高い強固な事業基盤を持つグローバル企業への進化に取り組んでいる。 「主事業であるたばこが、国内において今後大幅な売上成長が期待できないという状況の中で、JT が利益成長をするためには、コスト構造の改革が不可欠です。製造拠点および営業拠点の統廃合はそのための重要な施策ですが、組織を統廃合するだけでは企業活動はストップしてしまいます。そこで不可欠なのが間接業務の効率化です。間接業務を根本的に見直して思い切った効率化を進めることは、コスト構造改革を成功させ、『JT PLAN-V』を達成するうえでの重要な課題でした」と、経営戦略部 御領園尚秀主任は語る。 間接業務効率化は、大きく分けて2 つのステップで進めている。まず、業務プロセスを見直し、IT を活用して自動化を進める。次に、業務の標準化・共通化を行い、できるだけアウトソーシングを行い、自社で行うものも可能な限り集約する。2003 年に結成された間接業務効率化プロジェクトの合言葉は、「自らやる」。社員への権限委譲と業務の透明度UP を進めることで、申請や承認はすべて自分で実行し、自らチェックすることで業務の中抜きを実現、その為に、間接業務を作らない企業文化づくりを目指すことが重要なポイントであった。

これまでの間接業務を社員全員が自ら処理することで、業務そのものに支障が出ては本末転倒である。IT 活用による自動化、すなわちワークフローシステムの構築が不可欠だ。 ワークフローには、もうひとつ、1999 年に導入したSAP R/3 のフロントエンドシステムとしての重要な役割がある。 「ERP 導入時から、各拠点には会計担当者を置かないというポリシーで、システム設計をしました。これは、あとで別途ワークフローを構築するということを前提にしています。また、会計管理区分などをカスタマイズする必要が生じたときにも、ワークフローシステム側で細かいニーズをカバーするから、ERPのほうはできるだけカスタマイズしないという方針を貫きました。ERP 導入時から、ワークフローシステム構築は表裏一体で不可欠なシステムだと考えていたのです」と経営戦略部 鹿嶋康由主任は言う。 こうした背景もあり、鹿嶋氏は、2002 年秋からツールの検討を進めていた。当初、検討していたのは、ワークフロー構築ツールやBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)ツールで、鹿島氏が求める高度なシミュレーション機能などを備えたシェアードサービスを支援するものはすべて海外製品であった。 「ところが2002 年2 月に間接業務効率化プロジェクトが導き出したワークフローシステムの要件は、<①生産性の向上による低コスト開発 と②全社員がすぐに利用できる使い勝手>というものでした。それまで検討していた海外製品はすべて、価格も大変に高価で、また決して使いやすいものではありませんでしたので、まったく新しい視点でツールを選び直さなければならなかったのです」(鹿嶋氏)。 intra-mart を選んだのは、次の3 点を高く評価したからだ。 第1 に安い。それまで検討していた製品と比べると、3 分の1 程度の低コストで、必要な機能を盛り込んだワークフロー基盤を作ることができた。 第2 に早い。フレームワークがしっかりしているうえに、テンプレートが豊富にそろっているので短納期開発を実現できる。 「開発工数が削減できたうえに、すべてJ2EE で開発できたため、開発者の役割分担に合わせてのアサインが簡単でした。J2EE対応のオープンな開発ツールなどをプロジェクトごとで合わせて使えたことも、開発期間の短縮に役立っています」と鹿嶋氏は言う。 第3 に、日本国内での豊富な導入実績である。ワークフローシステムの構築は、プロセスとプロセスの連携や、多種類のシステムとのインターフェースが必要だが、NTT データイントラマート社では豊富な実績とノウハウを、コンサルティングを通じてフィードバックする形で、きめ細かくサポートした。 「純国産のツールであるため、代理機能など、日本の商習慣に合った機能があたりまえに入っていて使い勝手がよいのもうれしいところでしたし、ツール決定前にintra-mart 導入ユーザを訪問させてもらったことも参考になりました」(鹿嶋氏)。


ワークフローシステムは、2003 年12 月から2004 年3 月にかけて実質的な開発を行った。その後一部門の導入スタートを経て、全社規模での利用は、2004 年10 月にスタートした。開発プロセスが100 以上にも及んでいることを考えると、異例のスピード開発である。開発プロセスは、人事管理、労務申請、支払・収入金申請、カタログ購買など、人事/財務/調達関連業務に幅広くまたがっている。 システムを開発するだけでなく並行して、「承認は直属上司が1 回だけ行う」などの業務共通ルールを策定し、業務プロセス改革も行った。(この際、システムを社員の目線に合わせるための議論を徹底的に行っている) 「intra-mart のテンプレートは、複雑な業務をシンプルにするうえでも役立ちました。帳票をなくすことにエンドユーザーが納得できないといった場合にも、テンプレートのひな型画面を見せると、すぐに説得できたのです。また業務を可視化することが、制度の見直しにもつながりました」(御領園氏)。 ワークフローシステムの構築によって、すでに導入済みのERP はさらに効率よく機能するようになった。SAP R/3 とワークフローシステムの連携により、ERP へのデータ入力をエンドユーザーが行う仕組みが確立できたが、Web ブラウザで使いやすい画面から入力ができるため、エンドユーザーには負担が増えたという意識がない。ERP のカスタマイズを控えた部分も、ワークフローシステムで確実にフォローアップができた。 業務リードタイムが短縮し、業務スピードが向上したことも社員からは評判が高い。購買は今日申請したら明日届くのがあたりまえになった。人事関連の各種申請もその日のうちに受理される。 さらに顕著な効果は、2005 年4 月以降に明らかになるはずだ。拠点の統廃合などが完了して組織も変わり、「ワークフローがなければ日常業務が回らないという状況になるはず」と御領園氏は言う。 すでに、「自分のことは自分でやろう」という責任感醸成の意識は現場に定着し始めており、ひいては「ワークスタイルを自分で変えなければならない」という大きな意識改革にもつながりつつある。 次の課題としては、現行システムのブラッシュアップに加えて、年末調整や給与明細の電子化など、新しいシステム開発も数多く予定されている。またグループ会社に、SAPR/3 とワークフローシステムをワンセットにして普及させていくのも重要な課題である。 「ERP は担当者の業務を効率化し、ワークフローシステムは全社員の業務を効率化します。特に、人が多くて事務所が分散しているところでは、ワークフローシステムなしにはERP は効果を発揮することができません。両者をワンセットにして普及させながら、グループ全体の間接業務効率化を達成していきたい」と鹿嶋氏は語った。


| 日本たばこ産業株式会社 | |
|---|---|
| 本社 | 東京都港区虎ノ門2-2-1 |
| 設立 | 1985年4月1日 |
| 資本金 | 1,000億円 |
| 売上高 | 単独2兆6943億1000万円、連結4兆6251億5100万円(2004年3月期) |
| 社員数 | 単独13,769人、連結39,243人 |
| 概要 | 「かけがえのないディライト(喜び)を提供する、ブランディングカンパニー」をコンセプトに、たばこ、医薬、食品の3事業への経営資源集中を進めている。 |
| URL | http://www.jti.co.jp |
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