業種:製造業 / 業務:販売 / 用途:基幹システム構築基盤
工作機械・メカトロニクス事業の基幹システムをintra-mart/Javaで開発。大規模システムの短期開発と安定稼動に成功
自動車部品の大手メーカーとしてトヨタグループを支える株式会社ジェイテクト。同社は、工作機械とメカトロニクス部門の基幹系システムのオープン化に取り組んでいる。メインフレームを脱することで、拡張性を手に入れ、並行して進めている業務改革の成果を定着させることを目指す。その第1弾として、2007年8月に稼働を開始したのが営業系システムである。フレームワークとしてintra-martを採用したことで、開発生産性の大幅な向上を実現。画面回り、業務ロジックなどの部品も豊富に蓄積でき、J2EEによる今後の基幹系システム構築に大きな弾みをつけることができた。
自動車部品の大手メーカーとしてトヨタグループを支える株式会社ジェイテクト。同社は、工作機械とメカトロニクス部門の基幹系システムのオープン化に取り組んでいる。メインフレームを脱することで、拡張性を手に入れ、並行して進めている業務改革の成果を定着させることを目指す。その第1弾として、2007年8月に稼働を開始したのが営業系システムである。フレームワークとしてintra-martを採用したことで、開発生産性の大幅な向上を実現。画面回り、業務ロジックなどの部品も豊富に蓄積でき、J2EEによる今後の基幹系システム構築に大きな弾みをつけることができた。
トヨタグループに属する自動車部品・軸受・工作機械の大手メーカーのジェイテクト。主力事業は、自動車のステアリング、駆動系部品、軸受(ベアリング)、工作機械の4つである。 部品メーカーであると同時に、工作機械の大手メーカーであるというのもジェイテクトの特徴だ。工作機械は個別仕様の多い、受注生産でシステムに対する要求も複雑だ。 この工作機械事業において、2004年ごろから業務プロセスの改革プロジェクトがスタートした。 「工作機械部門とメカトロニクス部門が、根本的な業務プロセス改革を始めました。情報システムでもこれに歩を合わせてシステムを革新し、業務プロセス革新を支える為、システムの再構築を2005年末頃から検討開始しました。」と、情報システム部第3開発室 主担当の細田修三氏は説明する。 システム面で抱えていた課題は、基幹系システム全体がメインフレーム中心に動いており、拡張性に乏しく、変化への柔軟な対応ができないことだった。 「基幹系システム全体をオープン化したい。ユーザーインターフェースはWeb環境にして、データベースもリレーショナル型に変えて拡張性を確保したい。そうなると開発言語はJavaが妥当です。基幹系システムをJ2EEの本格的なMVC(Model-View-Controller)モデルで構築していくことにしました」と細田氏は語る。

新基幹システムは、取引先からの引合に始まり、見積、受注、生産計画、調達、機械加工、組立、原価管理をカバーする大規模システムである。ジェイテクトは、これをいくつかに分けて段階的に開発に取り組んでいるが、第1弾として、引合、見積、受注のプロセスをカバーする営業系システムを、intra-martをベースに作り上げた。 intra-martを採用したのは、基幹系システムをJavaで開発するときには、フレームワークが不可欠であると考えたからだ。 「Javaは自由度が高いだけに、開発者によって違う作り方になってしまう可能性が高い。開発者個人のクセや技量の差を吸収し、短期間で標準化をするために、市販のフレームワークを活用しようと考えました」と、情報システム部 第3開発室の三浦由英氏は語る。 三浦氏は、あらゆるフレームワークを調べ、可能な限りさわってみたという。 「intra-martは体験版とチュートリアルがダウンロードでき、これを操作するだけでイメージがだいたいつかめました。そこでintra-martを指標にして、他のフレームワークを評価していく手法を採ったのです」(三浦氏)。 他の市販フレームワークの評価を進め比較検討を行ったが、「わかりやすさ」「開発効率」「習得期間の短さ」と言う最も重要視した点で、intra-martは他のフレームワークより高く評価されたと言う。 「MVCモデルは確立したいが、EJBを習得している時間の余裕はないという条件の中で、一番わかりやすいうえに、業務ロジックを確実に作れるフレームワークとして、intra-martを選択したのです」と三浦氏は語る。 また、ジェイテクトでアプリケーションサーバーとして選定した、IBMのWebSphereとスムーズに連携できる点でもintra-martを評価した。

intra-martに決定したのは、2006年初めのことである。営業系システムは、数ヶ月の標準化、部品化作業の後、1年半の開発を経て、2007年8月に稼働を開始した。この1年半の間には、ユーザー部門の業務改革との同期合わせも必要であった。 営業系システムは現在、営業と生産計画の担当者を中心に数百人程度で使っている。しかし、この営業系システムで入力された情報は、管理部門から生産現場までリアルタイムに連携されており、極めてミッションクリティカルで影響力の大きいシステムである。 開発にあたっては、タグライブラリを多用して画面カスタマイズを実施したり、業務ロジックを共通部品化して開発生産性の向上を図った。また、intra-martで標準装備されている業務コンポーネント群を使うことで、メニュー管理やユーザー管理など、アプリケーションのインフラ的な機能をプログラミングせずに済んだことも、開発期間短縮に大きく貢献している。 「ユーザーも業務を変えたいと強く望んでいるときであり、システムに対する要望も膨大かつ複雑だった。しかし、開発期間は限られており、大車輪でプロジェクトを進めていくうえで、開発生産性が高いことはとても大切だった」と三浦氏は語る。 工作機械はシステム製品であり、その仕様を入力するにはかなりの作業量が必要だ。受注1件につき、入力必須データが数千バイトに達するほどである。これを間違いなく、しかも効率よく入力できるように、画面は徹底的にカスタマイズを行った。 たとえば、社員番号を入力しただけで、リターンキーを押さなくても氏名が表示される。こうした速さを追求するところではAjaxを駆使した。また、日付入力のときはカレンダーが自動的に表示されるなど、入力操作の進行に合わせて参照画面や部品名がポップアップ表示されるしくみや、引合番号を選択すれば製造指示書のPDFファイルがすぐに開ける動きなどを実現するためには、JSPのタグライブラリを活用した。入力エラーで前の画面に戻るとき、それまで入力した内容を保持した画面に戻るといった使い勝手の良さも、入力画面全体にタグライブラリを張り巡らして実現した。 「画面回りでは、タブキーの機能追加などのタグを30ぐらい作りました。ユーザーの要望にどうやれば開発工数を増やさずに応えられるか、それを実現するために共通部品を活用したのです」と三浦氏は言う。 一方、業務ロジックのほうは、「intra-martで作っていくと、意識的に作らなくても自然に全体が部品化しますから、これらを再利用しながらスムーズに開発を進めていくことができました」と三浦氏は言う。 そのほか、マスター管理テーブルを追加するバッチ処理を含む操作を部品化するなど、運用管理を効率よく行うさまざまな機能も、ツール化した。 「intra-martはソースコードを公開しているので、カスタマイズしやすかった」と三浦氏は評価している。

営業系システムが予定通りに完成したことで、「基幹系システムはオープンで行こう」という取り組みに大きな一歩を踏み出すことができた。 「まだ最初の一歩ですが、Javaによる基幹系システム開発のパイロットシステムになりました。内心は、従来の機能をうまく網羅できるのか、安定稼働ができるのかとハラハラしていましたから、ほっとしました」と細田氏はにこやかに語る。 部品やツールができ、ノウハウも蓄積され、人材も育ったことで、今後に引き続く大規模開発を乗り切っていく自信もついた。 オープン化すれば、機能追加や拡張を社内で行って、ビジネス要件の変化をすばやくキャッチアップできるようになる。しかも、営業系システムがオープン化しただけでも、見えなかったものが見えるようになったという大きな効果が指摘されている。 「今回のシステムで、受注前の引合段階で情報を共有し、工場で早めに生産予定を立てられるようになりました。また、誰が何をやっているかが見えること、予実対比がリアルタイムにできることなど、オープン化のメリットはみんなが感じています」と細田氏は力強く語る。 ジェイテクトは、すべてのシステムのデータベースを一元化し、企業活動全体の「見える化」を実現することを最終ゴールと定めて、業務改革とシステムのオープン化をさらに推し進めていく計画である。

| 株式会社ジェイテクト | |
|---|---|
| 本社 | 大阪市中央区南船場3丁目5番8号 |
| 設立 | 2006年1月(1921年創立の光洋精工株式会社と、1941年設立の豊田工機株式会社が合併) |
| 資本金 | 362億円 |
| 売上高 | 連結1兆252億円、単独6,348億円(2007年3月期) |
| 社員数 | 連結31,355名、単独9,919名(2007年3月) |
| 概要 | トヨタグループに属する自動車部品・軸受・工作機械の大手メーカー。事業内容はステアリングシステム、駆動系部品、軸受、工作機械、電子制御機器などの製造・販売。軸受では日本の「大手3社」のひとつ。電動パワーステアリングを世界で初めて開発・量産したのもジェイテクトである。 |
| URL | http://www.jtekt.co.jp/ |
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