間接業務を集約/電子化し、グループウェアを含めた一体型業務システムを構築。徹底したペーパーレス化と人材配置の最適化で、独自の「働き方改革」を実現。

代々受け継がれている豊かな自然、伝統工芸、歴史の面影を残す一方で県都金沢を中心に近代的な街づくりも進めている石川県。多様化する県民ニーズに機動的に対応しながら、より質の高い行政サービスを提供するべく、限られた資源を最大限活用し、効率的・効果的な行政経営の推進に取り組んできた。その一つに、間接業務を対象とした「IT活用による業務効率化」が挙げられ、本プロジェクトがスタートした。

目次

1.課題
紙運用からの脱却 ITによる業務の効率化/最適化が急務

2.導入
段階的な電子化の拡大により、業務の集約に成功

3.効果
人材配置の最適化、職員間のコミュニケーションも活発に

4.未来
新技術による、さらなる業務の最適化を期待

課題

紙運用からの脱却 ITによる業務の効率化/最適化が急務

より質の高い行政サービスを提供するためには、行政内部における業務の効率化/最適化、スピードアップが急務だった。石川県新行財政改革大綱(H14.12)が策定された当時、給与や旅費の計算・支給等はシステム化されていたが、時間外勤務・休暇・旅行伺い申請などのフロント業務は紙で、会議室・公用車などの施設予約は電話連絡で処理されていた。「各所属の給与や旅費事務を担当する職員が、手作業によって時間外勤務の割増率毎の分解や集計、休暇種類毎の集計などを行っていたため、事務処理の一部が煩雑かつ非効率で庶務担当者の負担も大きかったです。」と、総務部行政経営課 情報システム室室長 瀬戸氏が当時を振り返る。

石川県総務部行政経営課
情報システム室 室長
瀬戸 裕之氏

導入

段階的な電子化の拡大により、業務の集約に成功

職員の使い勝手を第一に、一体型のシステムであることが刷新の条件。ワークフローの柔軟性(特に部門間を跨る決裁者の設定、代理機能、アクセス権限周り)、カスタマイズ性(ソース公開)があり、構築する業務システムと同一基盤上でグループウェア(コラボレーション)機能を提供できることから、「intra-mart」が採用された。
知事部局を中心とした庶務業務の電子化と集約は、段階的に始まった。まず、本庁において庶務事務支援システムを導入するとともに、本庁約70所属で行っていた給与・旅費などの庶務業務を各部局に設置した事務センターに集約(H17.4)。次に、総務事務管理室を設置し本庁の庶務業務を1カ所に集約(H20.7)。さらに、システムに施設予約以外のグループウェア機能を統合するとともに出先機関へも展開し(H23.3)、順次、出先機関の庶務業務も総務事務管理室に集約していった。

石川県総務部行政経営課
情報システム室 課長補佐
新屋 直人氏

電子化により事務の一部を自動化し庶務担当者の業務量を減らすとともに、集約する所属の拡大にあたり庶務担当者によるワーキンググループを設け、綿密にミーティングを重ねながら様々な課題をクリアし新業務フローを確定させたことが功を奏した。 集約により、追給や返納などの二度手間が増えないよう各職員が正しくシステム入力する必要が生じることから、制度面も含めたシステム説明会を数ヶ月間、数十回にわたり実施。「PCに不慣れな職員に対してもきめ細かくサポートしてくれましたので、現在のシステム浸透につながりました。これは日立ソリューションズグループさんの貢献が大きいですね。」と、情報システム室 課長補佐 新屋氏が語る。

効果

人材配置の最適化、職員間のコミュニケーションも活発に

「大きな効果としては、集約による人材の効果的な再配置/電子化・自動化による業務量削減、ペーパーレス化。業務集約で効率的な業務実施体制を確立できたことが何より大きいです。申請の電子化により煩雑な時間外勤務の計算なども自動化でき、業務量削減とペーパレス化につながりました。給与明細の電子化も、他の自治体と比べても先行していたと思います。」と瀬戸氏。現在では、毎月約23,000件程の電子申請が行われている。
 各種申請のワークフローと、メール、掲示板や予定表などのグループウェア機能を統合したことによるシームレスな操作性が、使い勝手の良さにつながっている。さらに、ワークフローとグループウェア(コラボレーション)の連携も特長的だ。「申請/施設予約のワークフロー承認後、自動的に出張や休暇が予定表に反映されます。会議室や公用車の写真、定員、マイク等の備品類、車種を掲載することで、予約にあたり用途に最適な会議室等を選択できるようになり利便性が向上しました。」と、情報システム室主事 三﨑氏は語る。さらに、グループウェアのワークスペース機能は、複数の所属が関わるプロジェクト内(石川県ではマイナンバー制度、インフルエンザ防疫対策等)で、部門間を跨るリアルタイムな情報共有ができる。部門を越えたコミュニケーションが活発になり、今後活用の幅も広げていく方向だ。

石川県総務部行政経営課
情報システム室 主事
三﨑 心平氏

運用管理機能

・ 各種メンテナンス(利用者情報/組織情報/グループ情報/グループウェア など)パスワード初期化/利用者権限付与/給与・旅費等担当者割当/所属管理者割当/組織エクスポート・インポート/利用者エクスポート機能/利用者インポート機能
・ バッチ(AD連携、ファイルサーバ連携、メールサーバ連携、人事異動データ取り込み)

庶務事務支援機能

・服務 (職員別勤務シフト予定登録、年休/計画年休申請、特別休暇申請、出勤登録、育児短時間勤務登録、部分休業登録、週休日の振替/代休日登録、年休繰越、所属別休暇状況の集計 など)
・給与 (時間外勤務申請、時間外勤務実績所属別照会、振込口座申請、給与明細書 など)
・旅行 (旅行伺い申請、旅行実績登録、旅行実績照会、など)
・福利厚生 (様式ダウンロード、ライフイベントから必要となる申請の検索)
・共通 (申請ルート(決裁者)設定、申請処理状況確認、一括承認、代理者指定 など)

グループウエア機能

・ ポータル/電子メール/予定表/施設予約/掲示板/電子会議室/共有ドキュメント/ワークスペース/アドレス帳/個人設定 など

未来

新技術による、さらなる業務の最適化を期待

利用者数は4,000名を超えており、数々の制度改正にも対応しながら、導入後10年以上にわたって安定稼働を続けている。庶務業務の集約もひと段落と言えるが、イントラマート社や日立製作所も取り扱い始めた、今注目のRPAやOCRの新技術にも注目している。例えば、多様な領収書から金額を読み取り精算業務の簡易化を図ったり、年末調整の庁内手続きの電子化/自動化で事務処理を軽減できないか、新しいアイディアに期待が広がる。石川県の「働き方改革」実現に向けたチャレンジは、これからも続く。

基本情報

石川県

所在地
〒920-8580
石川県金沢市鞍月1丁目1番地
職員数
15,782人(教育部門、警察部門を含む)
URL

導入パートナー 日立ソリューションズグループ

石川県庁様には、2004年よりワークフローを主とした申請業務システムの導入からご支援させていただきました。
それより、グループウエア機能統合・ID管理強化などのシステム更改を重ね、現在は石川県庁職員様が利用されるシステムの中核となるまでに成長致しました。これも当初からintra-martを採用していたからこそ、実現できたと実感しています。
日立ソリューションズグループも多くの苦労を重ねながら共に成長させて頂き、大変感謝しております。
今後もintra-martを活用した業務改革を強力にサポートさせていただき、石川県庁様と共にさらなる成長を目指したいと思います。

(左)株式会社日立ソリューションズ
ビジネスイノベーション事業部
ビジネス・プラットフォーム本部
第1部 技師
宮川 敦 氏

(右)株式会社日立ソリューションズ・
クリエイト
北陸ビジネスセンタ
公共ソリューション第1本部
第1部 第4グループ 主任技師
議所 利対子 氏

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